2024年安息日学校ガイド第2期 「大争闘」 |
2024年2期4課 真理のために立つ
【日・迫害されても勝利する】
ダニエル書7章23~25節
「第四の獣は地上に興る第四の国…10の角はこの国に立つ十人の王。そのあとにもう一人の王が立つ。彼は…三人の王を倒す。彼はいと高き方に敵対して語り、いと高き方の聖者らを悩ます。彼は時と法を変えようとたくらむ。聖者らは彼の手に渡され、一時期、二時期、半時期がたつ。」
ダニエルが見た四つの獣の幻の中で、第四の獣はローマ帝国を暗示していました。この獣から10本の角が出ており、それはローマ帝国から分かれた10の国の王を表していました。すると、もう一つの角(ダニエル7:8では「もう一本の小さな角」)が現れ、10人のうち3人の王を倒すと告げられます。「もう一人の王」とはローマ法王のことであり、キリストの神性を否定するアリウス派を採用した3つの国を次々に討伐しくのです。最終的に西暦538年に3つの国のうちの1つ、東ゴート族(ゲルマン民族)をローマから駆逐し、ローマ法王はかつてないほどの力を手にすることになります。このときから、キリスト教会の歴史において、暗黒時代と呼ばれる時期が始まります。なぜなら、「彼はいと高き方に敵対して語り、いと高き方の聖者らを悩ます。彼は時と法を変えようとたくらむ」ようになるからです。まず、「時と法を変えようとたくらむ」とありますが、これは第七日安息日を第一日日曜日に変えたことを預言しており、聖書に従う真の神の民を、あろうことか教会が悩ます(迫害・弾圧)することになっていくのです。ただ、その期間は定められていました。それは「一時期、二時期、半時期」。黙示録12章6節では「1260日」、黙示録12章14節では、「一年、その後二年、またその後半年の間」と言葉が変えられていますが、どれも同じことを表しています。この定められた期間は、預言的な1日は1年に相当するという、民数記14:34やエゼキエル4:6の「1日=1年の原則」からすると、1260年間になります。つまり、538年から1260年後の1798年までです。予言通り、この年、フランス革命によりローマ法王は幽閉され、その後死亡し、法王が一時的に途絶えるのです。この1260年もの間、真のクリスチャンは大きな試練の中を通ることになりますが、黙示録12章14節に「しかし、女には大きな鷲の翼が二つ与えられた。荒れ野にある自分の場所へ飛んで行くためである。女はここで、蛇から逃れて、一年、その後二年、またその後半年の間、養われることになっていた」とあるように、神の民は主によって守られるのでした。
【月・光は闇を打ち負かす】
ユダの手紙3節で、「聖なる者たちに一度伝えられた信仰のために戦うことを勧めなければならない」と書かれています。それは「不信心な者たちがひそかに紛れ込んで来て…神の恵みをみだらな楽しみに変え、また、イエス・キリストを否定」(ユダ4節)するようになるからです。中世の暗黒時代、異教の教えだけでなく、ローマ教の間違った教えにも抵抗しなければなりませんでした。ローマカトリックの圧倒的な力にあらがうことは簡単なことではありませんでしたが、それでも真の民たちはいつの時代にもいました。その中の1つに、ワルド派と呼ばれる一団がありました。大争闘上P64に次のように書かれています。
「幾世紀にもわたってワルド派のキリスト者たちが信じ、教えてきた信仰は、ロ―マから出た偽りの教義と著しい対照をなしていた。彼らの宗教的信念は、キリスト教の真の体系である書かれた神の言葉に基づいていた。しかし、世から隔離された寂しい隠れがに住み、家畜の世話や果樹の栽培に労苦の日々を送っていたそぼくな農民たちは、自分自身の力で、背信した教会の教義や邪説に反対する真理に到達したのではなかった。彼らの信仰は、新たに受けた信仰ではなかった。彼らの宗教的信念は、彼らの先祖から受け継いだものであった。彼らは、使徒時代の教会の信仰、すなわち、「ひとたび伝えられた信仰」を強く主張した(ユダ三節)。」
彼らは、使徒時代の教会から教えられてきたことをそのまま守り、「死に至るまで忠実であれ。そうすれば、あなたに命の冠を授けよう」(黙示録2:10)とのみ言葉によって、勇気づけられたのでした。
【火・立ち向かう勇気】
初代教会時代、使徒たちは最高法院において、大祭司から、「あの名(イエス・キリスト)によって教えてはならない、厳しく命じておいたではないか」と詰め寄られたとき、恐れることなく、「人間に従うよりも、神に従わなくてはなりません」(使徒5章29節)と答えることができました。彼らは、「主に依り頼み、その偉大な力によって強く」されていたのです(エフェ6:10)。また、「あなたの栄冠をだれにも奪われないように、持っているものを固く守りなさい」(黙示録3:11)とのイエス様の忠告も真剣に受け止めていました。これと同様に、ワルド派の人々も勇気をもって教会の間違いに対して立ち向かいました。ワルド派は、自分たちの言語に訳された聖書を手に入れた最初のグループの一つで、北イタリアや南フランスの山岳地帯の共同体で密かに聖書を写しました。若者は幼い頃から、聖書の大部分を暗記するように親から教えられ、商人としてヨーロッパ中を旅しながら、聖書の真理を密かに伝えていきました。
【水・宗教改革の明星】
14世紀に入ると宗教改革が世界中から同時多発的に沸き起こります。その先駆けとなったのがジョン・ウィクリフでした。彼はカトリック教会の腐敗を批判し、神の前での平等を説きました。彼を大きく変えたのはみ言葉でした。
詩編19編9節「主の命令はまっすぐで、心に喜びを与え、主の戒めは清らかで、目に光を与える。」
詩編119編140節「あなたの仰せは火で練り清められたもの。あなたの僕はそれを愛します。」
ウィクリフはみ言葉を愛し、み言葉を喜び、み言葉によって清い心が与えられ、新たな光を得たのです。彼は自分の中にだけみ言葉の真理をとどめておくことができず、これを広げるために、1382年に史上初めてとなる英文の新約聖書を出版し、翌年には旧約聖書を出版しました。英訳された聖書はロラード派によって伝道に用いられ、カトリック教会の独占物だった聖書に一般信徒が初めて触れる機会となったのでした。ホワイト婦人は次のように述べています。
「ウィクリフの品性は、聖書が人を教え、改変する力を持っている証拠である。聖書が彼をこのような人物にしたのである。」(『希望への光』1633ページ、『各時代の大争闘』第5章)。
テモテ二2章1~3節に「キリスト・イエスにおける恵みによって強くなりなさい。そして、多くの証人の面前でわたしから聞いたことを、ほかの人々にも教えることのできる忠実な人たちにゆだねなさい。キリスト・イエスの立派な兵士として、わたしと共に苦しみを忍びなさい」とあるように、キリストの兵士として立ち上がり、長年権力を振りかざしてきたカトリック教会に対する改革運動が始まったのです。
【木・希望によって励まされる】
ヘブライ人2章14、15節
「ところで、子らは血と肉を備えているので、イエスもまた同様に、これらのものを備えられました。それは、死をつかさどる者、つまり悪魔を御自分の死によって滅ぼし、死の恐怖のために一生涯、奴隷の状態にあった者たちを解放なさるためでした。」
恐ろしい迫害に直面した忠実なワルド派の人々を励ましたものは、何だったのでしょうか。フスやヒエロニムスなどの中世の殉教者たちに、炎や剣に立ち向かう勇気を与えたものは、何だったのでしょうか。それは、神の約束に対する信仰です。キリストは言われました。
「わたしが生きているので、あなたがたも生きることになる」(ヨハ14:19)
「わたしは復活であり、命である。わたしを信じる者は、死んでも生きる。生きていて私を信じる者はだれも、決して死ぬことはない。このことを信じるか。」(ヨハネ11:26、27)
たとえ死んでも、キリストの永遠の命に生きることができる。これを信じるとき、死への恐れが取り除かれるのです。平和の状況の中で、果たして、今の自分のそのような信仰があるだろうかと心配しても仕方ありません。実際、そのような状況に立たされた時、神様が私達を強くしてくださいます。
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