2024年安息日学校ガイド第4期 「ヨハネによる福音書」 |
2024年4期8課 旧約聖書の預言の成就
【日・しるし、御業、不思議な業】
宗教指導者たちがイエス様に対して、「いつまで、わたしたちに気をもませるのか。もしメシアなら、はっきりそう言いなさい」(ヨハネ10:24)と詰め寄ったとき、イエス様は、自分が行っているしるしや不思議な業が、それを証していると答えられました。しるしや不思議は、旧約時代の多くの預言者、時には偽預言者も行ったため、必ずしもそれ自体がイエス様がメシアであることの証拠とは言えないかもしれません。しかし、それでもイエス様はご自分がなされた様々な業は、父なる神様がご自分をお遣わしになった証しであると言われたのでした。それと共に、「子は、父のなさることを見なければ、自分からは何事もできない。父がなさることはなんでも、子もそのとおりにする」(ヨハネ5:19)と、その一つ一つの業は、自分勝手に行っているのではなく、父なる神様との密接な共労関係において行っているのだと言われました。しかし、説得力のあるしるしや不思議にもかかわらず、多くの人々はイエス様をメシアとして信じようとはしませんでした。ところで、もしイエス様が単刀直入に自分はメシアであると言っておられたら、どうなったことでしょう。おそらく宗教指導者たちは反発し、イエス様に対して不利なことを探し出して責め立てたことでしょう。
【月・聖書の権威ある役割】
「あなたたちは聖書の中に永遠の命があると考えて、聖書を研究している。ところが、聖書はわたしについて証をするものだ」ヨハネ5章39節
ヨハネはイエス様をメシアとして指し示すために、具体的なしるしや証を用いるとともに、旧約聖書におけるメシア預言にも触れて、そこからイエス様がメシアであることを示そうとしています。ユダヤ人にとって聖書(旧約)は、絶対的な神の権威のもとに書かれたものであると信じられていました。しかし、彼らは聖書に何が書かれているのか、その最も重要な点を理解していませんでした。聖書は、イエス様について証する書物だったのです。たとえば、民数記21:5~9の出来事を用いてイエス様は、「モーセが荒れ野で蛇を上げたように、人の子も上げられねばならない」(ヨハ3:14)と語り、この物語が伝えようとしていたことは、ご自分の十字架とそれによる救いであったことを示されました。また、イエス様は、「わたしは、どのような人々を選び出したか分かっている。しかし、『わたしのパンを食べている者が、わたしに逆らった』という聖書の言葉は実現しなければならない」(ヨハネ13:18)と、ユダの裏切りに関する聖書の預言に私達の目を向けさせ、聖書に書かれてあることはすべて真実であり、すべてが実現していくことを示すことで、聖書の権威をより一層確かなものとしています。
【火・イエスに関する旧約聖書の預言(その 1)】
新約聖書には、しばしば旧約聖書からの引用が見られます。
① ヨハネ1:23「ヨハネは、預言者イザヤの言葉を用いて言った。「わたしは荒れ野で叫ぶ声である。『主の道をまっすぐにせよ』と。」…イザヤ 40:3「呼びかける声がある。主のために、荒れ野に道を備え、わたしたちの神のために、荒れ地に広い道を通せ。」
② ヨハネ2:16「鳩を売る者たちに言われた。「このような物はここから運び出せ。わたしの父の家を商売の家としてはならない。」…詩編69:10「あなたの神殿に対する熱情が私を食い尽くしているので、あなたを嘲る者の嘲りが私の上にふりかかっています」
このようにユダヤ人たち誰もが認める権威ある旧約聖書を用いることで、イエス様が来るべきメシアであることを示そうとしています。ただ、ヨハネ2:22に、「イエスが死者の中から復活されたとき、弟子たちは、イエスがこう言われたのを思い出し、聖書とイエスの語られた言葉とを信じた」と記されているように、弟子たちでさえ、真にそれを悟るのは、イエス様が死んで復活された後だったようです。
【水・イエスに関する旧約聖書の預言(その 2)】
キリストの誕生、生涯、死などについて、旧約聖書に数多く預言されており、それのことがキリストが待望のメシアであられたことを示しています。
① ヨハネ12:14、15「イエスはろばの子を見つけて、お乗りになった。次のように書いてあるとおりである。「シオンの娘よ、恐れるな。見よ、お前の王がおいでになる、ろばの子に乗って。」…ゼカリヤ書9:9「娘シオンよ、大いに踊れ。娘エルサレムよ、歓呼の声をあげよ。見よ、あなたの王が来る。彼は神に従い、勝利を与えられた者、高ぶることなく、ろばに乗って来る。雌ろばの子であるろばに乗って。」
② ヨハネ19:37「また、聖書の別の所に、「彼らは、自分たちの突き刺した者を見る」とも書いてある」…ゼカリヤ12:10「わたしはダビデの家とエルサレムの住民に、憐れみと祈りの霊を注ぐ。彼らは、彼ら自らが刺し貫いた者であるわたしを見つめ、独り子を失ったように嘆き、初子の死を悲しむように悲しむ」
ヨハネは、イエス様が何者であり、またなぜ私たちがイエス様を信じ、イエス様から与えられる救いを受け入れるべきなのか、まさにその点を明らかにするために、旧約聖書から何度も引用しているのです。
【木・下のものに】
イエス様が約束されたメシアであり、ユダヤ人が待ち望んでいた大きな希望であられたにもかかわらず、宗教指導者たちの多くは、イエス様の最大の敵となったのでした。これはなぜでしょうか。イエス様は、「あなたたちは、わたしもわたしの父も知らない」(ヨハネ8:19)と言われました。また、「あなたたちは下のものに属しているが、わたしは上のものに属している。あなたたちはこの世に属しているが、わたしはこの世に属していない」(ヨハネ8:23)とも言われました。つまり、サタンが支配しているこの世に属する宗教指導者たちは、天のことはわからないということです。わからないどころか、公然と敵対するようになるのです。しかし、そうかと思えば、「これらのことを語られたとき、多くの人々がイエスを信じた」(ヨハネ8:30)とも書かれてあります。宗教指導者たちのように難しい神学的知識に乏しくても、イエス様のことはわかったのです。逆に、何でも知っていると言ってはばからない高慢さが、神様を見えなくしてしまったのです。
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